basyou_matsuo’s blog

行きかふ年もまた旅人也

台北の地下のタクシー乗り場が気持ち良かった件

最近、東南アジアからの帰りは台北の桃園空港着、台北市内で一泊し、翌日、松山空港から羽田空港という経路が多くなっている。理由はいくつかあって、一つは、バンコクジャカルタなどから帰ってくる時、直行便だと6時間を超えるフライトだ。直行便でCクラスに乗れればいいが、所詮は貧者の旅の常としてエコノミー席の利用となるため、膝が痛くなるし、たいそう疲れる。予約時にきっちり非常口席かバルクが押さえられれば別だが、私のFFPのステータスでは100%確保できる、、、という保証がないため、復路の真ん中辺りで一泊して、少しでも体への負担を減らそうという作戦。

二つ目は、東南アジアから日本への距離の真ん中辺りというと台湾か香港になる。他の選択肢として中国本土の広州、アモイもあるが空港としてのサービスが台北や香港と比べて良くないため除外。百歩譲ってマニラも真ん中と言えば真ん中だが、空港のエアラインラウンジが酷いので使いたくない。消去法で残った台湾と香港の空港を私なりの価値観で比べると、パスポートコントロールでスタンプを押してくれない香港は論外。自ずと選択肢は台湾になる。

三つ目は、どうせ一泊するのであれば、美味しいものにありつきたい。香港もいいが、台湾の方が私の好みに合っている上、B級グルメであれば台湾の方が若干リーズナブルな気もする。しかも、私的に海外ご飯史上ベスト3の一つ、滷肉飯がある。ちなみに他の二つは、カオマンガイとカオカームー。

四つ目は、台湾も香港も旅人に親切だけれども、台湾の人は特に親切な上、日本人に対してはとびきり優しい。

さらに最近、桃園空港線MRTが開通し台北市内に出やすくなった。最近まではバスで台北市内にアクセスしていたが、ラッシュアワーにぶつかると、とんでもなく時間がかかってストレスが溜まっていた。しかし、これで時間が読めるようになり、時間がかかるのも、ストレスも解消された。昨年の年末・年始に初めて使用したが、桃園空港から台北駅まで途中、急行に乗り換えて1時間掛からないくらいで到着する上、車内で無料のWi-Fiが使えるので、すこぶる使い勝手がよい。ただ、空港ターミナルから一歩も外に出ずにMRTに乗れるため、ダウンジャケットを着ている地元の人が、半袖Tシャツ1枚の私を不思議そうに見ていることに気が付いた。そう、台北の大晦日の夜だって十分寒いのだ。。。

寒いと気付くと余計に寒く感じるもので、すぐに見つけた滷肉飯屋に飛び込み、滷肉飯と滷油豆腐と滷蛋で腹を満たした後、小さく畳んでバッグに入れていたユニクロのウルトラライトダウンを着て暖かくして、外に出ると 、ようやく奇妙な旅人ではなくなった。そして、その夜に泊るホテルに行くためにタクシーを捕まえようとしたのだが、年末だからか、空車が来ない。空港から到着した地下の台北駅から、ご飯を食べるために外に出る途中、地下階にタクシー乗り場のマークがあったのを思い出して、駅の地下に戻った。それにしても、数年前に買ったユニクロのウルトラライトダウンは本当に素晴らしい。値段は忘れたが、三千円台で買えて、暑い国に行く時にデイバッグに入れてもかさばらないうえ、寒さを凌げるのだ。

台北駅の地下に降りると、タクシー乗り場はすぐに見つかった。タクシー待ちの人が、そこそこ並んでいた。タクシー乗り場は、おばさん(40歳前くらいの人だろうか)が一人でテキパキと切り盛りしていた。タクシーが数分おきにやってきては乗客を乗せて、待ち行列を捌いていた。おばさんは、乗客がたくさん荷物を持っていればトランクに詰めたり、台湾人には台湾語、日本人には日本語、その他の人には英語で声をかけていた。台湾語はわからなかったが、日本語では『気を付けて行ってらっしゃい』と正しい日本語を使っていた。おばさんのテキパキした動作と笑顔が私の台湾のイメージを象徴していた。

私の番が来て、タクシーに乗るとき台湾語で何か言われたが、『判らない』とジェスチャーで応えると、笑いながら『あっ、ごめんなさい。良いお年を』と言ってくれた。台湾で乗り換えて良かった。そして、母に会いたくなった。