basyou_matsuo’s blog

行きかふ年もまた旅人也

若い頃はアメリカ東海岸一辺倒だった件

若い頃は海外旅行というとアメリカ東海岸一辺倒だった。特にアメリカ東海岸に集中して遊びに行った。シカゴ、ボストン、ワシントンD.Cからニューヨーク。フィラデルフィアボルティモアに二泊くらいしてから、ニューヨークというのも多かった。

今考えても何故、アメリカの、しかも東海岸、しかもニューヨークばかり行っていたのか理由がわからない。物価が高く、普通レベルのホテルですら気が狂ったように高い割に酷いところしかなく、食べ物もおいしくない。たいして英語が話せる訳でもなく、白人ではないが故の差別を受けて落ち込んみ、何が良かったんだろうか。何故、何十回となく足を運んだんだろう。

結局のところ飛行機に乗るのが楽しかったのかもしれない。概ね13時間飛行機に缶詰にされて、映画を3本も4本も見て、機内食を3回食べ、綺麗なCAさんとお話をして、SKYWARDや翼の王国を読み、マイルが貯まっていくことに満足していたようなものだった。

ところで昔の日本の航空会社のアップグレードはイカしていた。NRT-JFKのエコノミークラスの正規割引運賃の値段は、若干記憶が怪しいが10万円くらいだったはず。今のANAだとValueJALだとEconomy Saverといったところか。昔はJALだと『JAL悟空』とか言ってた。そして、今とは違い、どのクラスの正規割引運賃でも、50,000マイルでビジネスクラスにアップグレードできたのだ。

そして、当時は、まだ上級会員も少なかったので、エコノミーのチケットを購入していても、比較的インボラが多かった。インボラで一番シビれたのは、ANAでワシントンD.Cに行ったとき。私は、その生涯で一度だけビジネスクラスのチケットをお金を出して購入したのがその時だった。10月に思い立ってニューヨークに行こうと考えたが、年末・年始のニューヨーク線はどの航空会社も満席。空席があったところで高価だったが、何気なくANAビジネスクラスの正規割引運賃を見たら、ニューヨーク行きは満席だったが、ワシントンD.C行きは空席があった。確か値段は500,000円だったか、490,000円だった。今考えると恐ろしいが、この時、エコノミーのチケットが取れなかった私にとって、500,000円は決して高くは感じなかった。しかも、空席のある日程は12/30-1/2の二泊四日。結局、500,000円をANAカードで支払ってビジネスクラスに搭乗したのだが、帰りのチェックインの時にアップグレードがかかった。ただ、発想が貧困な私は、アップグレードと言えばエコノミー⇒ビジネスクラスのインボラしか想像ができず、語学力の低さから聞き間違えだと思ってスルーしていた。しかし、当時、最新鋭だったB777-300ERに搭乗すると一番前の席に案内され、それがファーストクラスであることに気づいて気絶しそうになった。恐る恐る搭乗券を見直すと、確かに大きな文字で『F』と書かれていた。東京までの13時間は夢心地だった。それどころか、東京に着かないで欲しいとさえ思った。食後のおやつは、私の大好物である岐阜の川上屋の栗きんとんだったが、ファーストクラスの乗客が3人しかいなかったので、CAさんが、『お好きならどうぞ』と言って、テーブルの上に箱を2つ積んでくれた。

そうだ、機内食や綺麗なCAさんよりも、幸運な偶然に遭遇するために、飛行機でなるべく遠くに飛んでいたのかもしれない。